七宗町神渕杉洞の岩瀬(いわぜ)には、祠(ほこら)に安置されている木造のお地蔵様がある。
そのすぐ横にはこんこんと清水がわき出していて、小さな泉を造っている。
このお地蔵様は、元文2年(1737)11月24日、当地住人の可児平十郎によって
建立されたもので、台座には「六十六部納経聖儀」と刻銘されている。
由 来
昔、この地に亀右衛門という孝行者のよく働く男がいて、このお地蔵様を深く信仰していた。
ある年、亀右衛門の顔に次々といぼができてひどい顔になってしまった。
日夜悩んだが、この上は神仏に頼るしかないと、日頃から信仰していたお地蔵様に朝晩、
願をかけ続けた。
そうしたある夜、枕元にお地蔵様の権化か薬師如来様が現れ、
「岩瀬の清水で洗え。きれいに治る」とお告げがあった。
喜んだ亀右衛門は夜明けを待たず出かけ、泉の清水で顔を洗った。
すると不思議、2〜3日ですっかりときれいに取れてしまった。
亀右衛門のいぼがきれいに取れたという話は、村中は言うに及ばず、次々と近隣の村々や
遠く尾張までも広まったので、それからというものいぼに悩む人々がこのお地蔵様にお参りし、
泉の清水を持ち帰った。治るとお礼参りをして頭巾やよどかけを奉納したそうだが、
その数たるや相当のものであったという。
今でも「いぼとり地蔵様」として親しまれ、信者のお参りが絶えないでいる。
祈願の方法
お参りをされていた地元の方に祈願の方法をお聞きしたので紹介します。
写真には写っていないが、お地蔵様の前には「おわん」がある。これに泉の水をくんで供えたあと、
「いぼが取れますように!」としっかりとお願いをする。そして、その「おわん」の水を持ち帰り、
毎日いぼに塗るときれいに治る。また、お礼参りは必ずするように・・・とのことです。
最近の話では、知り合いの40代の女性が祈願されたそうですが、きれいに治ったと嬉しそうに
話して下さいました。
「いぼとり地蔵様」の右隣には、「西国三十三観音塔」と「弘法大師と白衣観音」の像がある。
「西国三十三観音塔」は、西国三十三観音霊場を一石に刻したもので、紀伊の那智山青岸渡寺(如意輪観音)
を一番とし、西美濃の谷汲山華厳寺(十一面観音)の三十三番までの仏像である。
巡礼の旅を望みながら果たせぬ者が多かったため、近くで参拝できるようにし、観音様の功徳を村民が
分かち与えてもらえるようにしたのがこうした始めであった。
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